柿ママ、ゲストティーチャーになる!

<きっかけと経緯>
去るH14年11月22日、突然頂いたメールは、誇らしいような、気恥ずかしいような、そんな内容でした。
その方は、市内の小学校の先生で、「佐世保市、動物愛護」で検索をし、私のHPを見つけて下さったのです。以前にも似たような経緯で訪れ、お知り合いになった方々がいますが、今回はちょっと趣を異にするものでした。
「道徳の授業で、自然愛(犬や猫などの生き物の命を大切にしよう)をテーマにしよう・・・」とされているのでした。
新聞記事、雑誌、文献、TVと資料となるものを探し、様々な下調べをなさった結果、佐世保の子だからこそ(長崎県は猫の処分数が二年連続全国最多。うち6割を長崎市と佐世保市で占めている。)猫や犬に対する思いやりの心を育てることが急務ではないか、とお考えになられたのです。

驚きました。実は私は子供が苦手です。その割に何故か懐かれるため、余計に苦手です。
けれども、子供とは大事な存在だと強く考えています。そして、動物の生命を軽んじる今の大人達や世界を変えていけるのは、子供達だとも考えています。だから漠然と、教育の現場で「生命の尊さ」をきちんと、真剣に教えてくれる先生方が増えてくれれば良いのに、と考えていました。
ですから、「『なぜこのような取り組みをされているのか』、『いまどのような活動をされているのか』、『小学生に伝えたいこと』」などを教えて頂きたい」とのお願いに、了承のお返事(私如きが僭越かな、という躊躇はありましたが)をさせて頂きました。そして、上記に関する文章に一言、「授業を参観、もしくはVTRを撮られるなら観てみたい」と添えると、「実は、直接子供達に話をしてもらえたら、と考えていた」と打ち明けられました。

まさか、そんなことは考えてもみなかったので、悩みました。いえ、動物や子供達にとっての良い影響を考えるのであれば、答えは決まっています。が、「私如きが・・・」という躊躇と、「上手く話せなかったら・・・」という自意識過剰による不安に、答えを保留にして頂くことになりました。「伺います」という返事をできるようになるための保留。
そして結果は、ご覧の通りです。H先生自身にも、そして多くの友人・知人に励ましてもらいました。ほんの少しでもいい、皆の想いを伝えてこよう、と腹を括れました。

jugyou_0.jpg<H15年1月17日(金)>
授業当日。写真撮影を頼むためもあって、友人Sに付き添ってもらい、学校へ。研究授業でもあるため、他校の先生方も来ていらっしゃいました。 いざ、H先生が担任をされている4年1組へ。 アイ○ルのCMから授業は始まりました。テロップが入ったことを、生徒達自身に指摘させ、「放送開始後に、テロップが導入されたのは何故か」と問いかけます。それに積極的に答える生徒達。彼らを見縊っていたことを謝らねばならないほど、現実を知っている答えが出てきました。 続く、生徒の1人が書いた愛犬の死を悼む詩。「何故、涙が止まらなかったのか(詩の一文)」、「ちび(愛犬)の気持ちは、どうだったろうか」という問いにも皆が、「大切にしていたから」、「もう二度と会えないから」や、「もっと一緒にいたかった」、「今までありがとう」と積極的に答えていきます。 対比させるように、「引き取りネコ 2年連続全国最多」という記事を紹介。H先生が保健所で聞いてこられた話を、生徒達に話され、引き取りの理由が書かれた短冊が黒板に貼られていきます。そして、「このことをどう思うか」、「どうすれば不幸な犬猫をなくすことができるか」と問いかけます。彼らが答えてくれた数々の答えを、これからも決して忘れずにいて欲しいと思いました。


jugyou_1.jpgついに出番です。「佐世保市で個人で活動をしている人」としての紹介に、面映くなります(私のしていることはまだまだですから・・・)。 H先生の質問(ほぼ前述の質問)に答えるインタビュー形式に、既に一度文章にしている中から、言葉を選びながら話をしました。「元飼い猫であろう猫達の食餌の世話と不妊手術、排泄物拾い、ゴミ捨て場の掃除。署名集め等をしています」、「猫が好きだからです。保護した子猫が、愛情と栄養で、痩せ汚れた姿から見違えるような姿になった時、町で見かけるのら達のことまでもが気になり始めた。その猫達も同じに違いない。そして何かしたい、と思い、今しているこ とを始めた。」、「動物も生命がある。動物が嫌いでもいい、それは悪いことじゃない。けれども、苛めたりすることは決してしないで。皆と同じ生命を持つことを忘れないで欲しい。これから色々な授業で、動物の生命について勉強すると聞いた。多くのことを調べて、優しさを身につけ、小さなことでもいい、できることを始めてみて下さい」 ―これがおおよその内容です。署名集めをした「動物愛護センター」とはどういうものか、という問いもありました。「私達の希望は、『最終処分場を併設しない収容施設』と考えています。」と簡単過ぎる答えしかできませんでしたが・・・(意図は伝わったかな?)。


jugyou_2.jpg今回特別に、45分から60分に延長された授業も随分押してしまっ ていたようです。それでも途中途中、意見を言おうと手を挙げる生徒達を制止せねばならないほどでした。 ここで、先頃新聞に掲載された記事が紹介されました。「佐世保市に動物愛護検討会が設置される」という記事です。「個人で活動されている方々の努力が実った」とH先生。奇しくも今回、その代表のように扱って頂いたわけですが、私の方こそ、長く佐世保市で活動されてこられた方々に、お礼が言いたい気持ちです。まだまだ、検討会が設置されることになったというだけの段階ですが、そのことがこういう形で子供達に知らされたことは、とても意味があるように思 われます。 何と言っても、「佐世保の良いところは?」という問いに(これは今回の授業よりもずっと以前のことだそうですが)、「猫が多いところ」と答えた子がいたそうですから。猫が多い、その背景を考えると複雑な気持ちもありますが、猫や犬を、その他の動物を慈しむ気持ちは、これからも決して無くさずに、持ち続けて欲しいものです。


kikanjunshi_1.jpg一区切りしたこの段階で、授業の感想や自分の経験、これからの学習への思い(これから約1ヶ月の間、国語の授業でのポスターセッションや、学活、集会、保護者の前での発表等々が予定されています)を書く間、机間巡視もお願いされました。「質問などあったら答えてや って下さい」とのことでしたが、気恥ずかしかったせいもあり(ごめんなさい、皆さん)、声もかけられず、書いている内容を覗き込ませてもらうだけとなってしまいました。 動物と暮らしたことがある子、暮らしている子、動物が好きだけど住宅事情が許さない子、それぞれの様々な想いがそこには込められようとしていました。 私の名前を書いてくれていた子もいました。驚きました。名前など覚えていないだろうと思っていたからです。これもまたまた子供を見縊っていたことですね。何度か名前が出てきたのですし、皆、真剣に授業を受けていたのですから。 時間がなかったため、途中で一旦切り上げることになりましたが、きっともちろん書きあがっていることでしょう。できることなら、皆がどんなことを書いたのか読ませてもらえたらな、と思わされました。


tenji.jpg締めくくりに、教室を移動し、皆であるものを観に行きました。写真が展示されているのです。「動物たちのレクイエム」の児玉小枝さんのその写真。ご本は購入させて頂いてましたが、展示を観たのは私も初めてです。「動物たちのレクイエム」と「明るい老犬介護」。まるで、対極をなすかのような2種類の写真は、見比べるほどに切なくなります、その違いに。そして前者の写真の子達は、もう既にこの世にはいない子達・・・。 中には、恐らく共に暮らした子達を思い出したのでしょう、泣き出す子達もいました。そうでなくても、それらの写真から伝わる生命の叫びは、胸に響くはずです。 思わずもらい泣きをしそうになりながらも、私は感動しました。子供達のピュアな涙に。その真っ直ぐな心に。ただ写真を見るだけでは泣けないのです。そこから伝わってくるものを感じ、その写真に写された猫や犬達の境遇を思い起こせる想像力や感受性がなければ。 ですから、泣いてくれた子達に温かいものを感じました。泣かずとも何かを感じてくれた子達に、嬉しさを感じました。 教室へ戻り、展示を見た感想(だったと思いますが)を書くようにという、話をH先生がされていたようです。皆は、どんな思いを綴ってくれたのでしょうか?


<最後に・・・>
短い時間の、こちらからの話だけの一方的なコミュニケーションでしたが、伺わせて頂いて、本当に良かったと思いました。予定では2月中旬まで続く「自然愛」の学習。その先に、実ってくれるものが必ずあるはずです。私も今回のことで、色々と考えさせられました。改めて、自分のしているこの小ささ(大きいから良いというわけでは決してありません。続けていくことこそ大事なのです。それでももっともっとキャパを拡げたいと考えると、今はまだまだ・・・)を、感じました。
これから自分に、周囲に、そして佐世保市にどういう変化が起こっていくのか、見極めながら、尻込みすることなく、できることを続けていきたいと思います。機会があればまた、子供達に、胸を張ってお話できるように。

当日を迎えるまでに、知人からいろいろな話を聞きました。
公園で猫を虐待する子供が、猫達の世話をするおばあさんに暴言を(暴言だけではないようですが)吐くので、心を痛めたその方は学校側にお話をされたそうです(おばあさんにしてみれば、猫のこともその子供達のことも心配だったのではないでしょうか?)。すると、学校側はそれを真摯に受け止めるどころか逆の態度を取られたとか(もちろんただの教員の方が対応されたわけではないです)。それは当の子供達の親御さん方にしても変わらなかったようです。
他にも、学校に捨てられた子猫を、「殴り殺して処分しろ」とまで仰る役職のある教職員の方がおられたそうです。命令された職員の方は、猫の里親になられたこともあり、家族として愛されている方で、そんなことができようはずもありません。立場上、意見することもできず、その方はその子猫をご自分の家族として迎え入れられたそうです。
生命の尊さを教えてくれるはずの場所で、生命が無残に踏み躙られています。飼育動物でさえ、満足に世話をしてもらえず、それどころか生命として見てもらうことすらされていないのも現状です。

ただその時だけの授業の題材として終わるのではないか、そういう疑問を持ったことも事実です(H先生に対して大変失礼なことを考えてしまいました。申し訳ありません)。神社、お寺、学校等々は、動物を疎んじるところ、というマイナスイメージができてしまっていたのです。
ですが、少なくとも、あの学校ではそんなことはないのだ、と信じることができます。
小学校の恩師である先生が、実は今回訪れた学校の校長をされているのですが、授業後、私と友人を他の先生方に自慢して下さっていたそうです。とても嬉しかった。こういう活動をしていると、好意的でない見方をされることも少なくはないのは、誰しも経験しておられるでしょうから、この気持ちもお分かり頂けるかと思います。
だからこそ、余計に、お引き受けして良かった、と心底思いました。こういう学校が、そういう教職者の方々がおられるのだと、実感できました。

お声をかけて下さったH先生、4年1組の皆さん、校長先生、そしてぎんじを亡くした直後にも関わらず、付き合ってくれた友人のS、私の尻込みを励ましてくれた皆さん、心からお礼を言います。
ありがとうございました。忘れ難い経験となりました。


<その後・・・>
子供達の総合学習は続いているそうです。保健所の方にもアドヴァイス頂いたりしながら、子供達は自分達にできることを計画・実行していくところらしい。とても嬉しいその後の経過です。
私は、これまでと変わらない。授業直前に増えた外猫の去勢を済ませ、暖かくなったら怪我の治療を、と考えている。
祖母の外猫の避妊・去勢、その他にもう1件ある親子猫の避妊・去勢も控えている。なかなか頭の痛いところではあるのですが、とにかく行動せねば始まらない。そんな私の「ゲストティーチャー」のお話が、「NPOねこだすけ」さんが発行されている「ねこだすけニュース」に掲載されました。それも光栄なことにTOPで一面に。H先生にもご報告し、FAXを送らせて頂きました。4年1組のみんなにも見せてくれるそうです。

さて、そのH先生から素晴らしいご報告を頂きました。『全国規模で各地で開催されている道徳教育研究会のセミナーで、「今回の道徳の授業をセミナーで発表してほしい」と依頼されてしまいました。東京から来られるお偉方の前で模擬授業をし、それを全国(?)から集まられた先生方に見て頂く』とのことなのです。本当に、嬉しくなるような素晴らしいお話です。
他の授業ではなく、今回のこの授業を選んで下さった方々にも感謝の思いです。(因みに私は出ませんよ。H先生から「こういう人にゲストティーチャーをお願いしました」というようなコメントが入るだけですので、念のため)
これをきっかけに、さらにこのような授業や考え方、生命に対する優しい想いが拡がっていくことを、願って止みません。

4年1組のみんな、頑張って!!
H先生、セミナーでのご活躍をお祈りしてます。頑張って下さい。
                                                                         

H15.3.11記

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